季節のおすすめ花材「雪柳」

2025 7/07

草木茂る、夏の水辺の景観
小原流五世家元 小原宏貴


雪柳は、水辺の景観を描写する写景盛花に好んで用いられる花材です。「蓮花郷」というテーマでいけたこの作品も、雪柳やスモークツリーを陸地に見立て、茂みの向こうに縞太藺や睡蓮が見え隠れする景観をいけています。雪柳の枝の柔らかな線の動きや、葉の緑色と黄緑色のグラデーションなどから、茂みの奥行きや奔放さを表しているようです。器の金彩や睡蓮の花の色も相まって、写景盛花でありながら少し色彩的なニュアンスも感じます。
雪柳は楓や夏はぜなどと同様、省略の要素が多い枝ものです。どこを生かしてどこを整理するか。枝の表情を捉えて、自然の姿を引き出してみましょう。

小原夏樹作『小原流挿花』1988年7月号「いける」より
写真:小林庸浩
花/雪柳 スモークツリー 睡蓮 縞太藺 スコット玉しだ

花産地より:雪柳
昨年より、雪柳がプロジェクトの対象花材に加わりました。春は白い小花が魅力の雪柳ですが、夏の青葉、秋の紅葉の季節のご利用もおすすめです。豊友会では、全国の産地とさらなる連携をはかり、季節を通した生産と供給の維持を目指しています。
産地では枝に曲がりのある2〜3年ものの雪柳の生産維持に取り組んでいます。

いけばな花材を守るプロジェクトとは
豊友会と小原流が協力し、生産が減少している花材を積極的に利用することで、花の産地を支える取り組みです。

引用:小原流挿花2025年7月号より