陽光きらめく、夏の水辺の趣
小原流研究院教授 工藤亜美
池に咲く睡蓮の旺盛な自然感を表現するには、花だけが目立つのではなく、葉の茂りを十分に見せることも大切。陽光を受けて咲く睡蓮を水面に図案的な姿を見せて漂う菱とともにとらえ、夏の池沼の景観を描写しています。
睡蓮は水の風趣をとらえる写景に用いる花材ですが、色彩の魅力もある花なので、縞(しま)蒲(がま)、スモークツリー、かすみ草などと合わせて色彩的にいけるのも素敵です。夏に水の風趣を涼しげに表現できる貴重な花材です。
たっぷりの水を湛(たた)え、葉が乾燥しないように夜は葉面の空気の触れる部分に濡れた新聞紙などのお布団を掛けて休ませて、長く楽しみましょう。
『盛花百選』より 作品36
花/睡蓮 菱 器/砥部小判型水盤
花産地より
睡蓮は9月まで出荷可能ですが、8月は研究会のお休みなどから、需要が減っています。8月以降のご利用減が続いてしまうと、産地では秋までの出荷体制を縮小せざるをえない状況にあります。豊友会では、 お盆以降の睡蓮の価格を少しお求めやすい設定にしました。秋のお稽古にもぜひ、ご活用ください。
いけばな花材を守るプロジェクトとは
豊友会と小原流が協力し、生産が減少している花材を積極的に利用することで、花の産地を支える取り組みです。


引用:小原流挿花2025年6月号より