豊友会たよりvol.13 小原流と花
古より春を彩る雅な花色
小原流研究院教授 工藤亜美
鎌倉時代、承久の乱に敗れ、佐渡へ島流しとなった順徳院がその名を付けたといわれる都忘れ。佐渡の庭に咲く小さな花に都への想いを寄せ、「この花を見ていると都のことが忘れられるかもしれない」と、傷心のなぐさめにしたというエピソードが伝わっています。
美しい紫色に黄色い花芯は、完璧な補色の花色。1輪をクローズアップして見れば、かなり派手で雅な花。けれど、花の大きさと草丈からは、かれんで、地味な花という印象の不思議な花です。
小原流では、写景盛花様式本位の春の配材として欠かせない花材です。写景盛花に用いられることが多いですが、色彩的にも、意匠的にも魅力のある都忘れは、もっと色彩盛花や琳派調いけばなに取り合わせされてよいと思います。作例のように色彩盛花色彩本位のアクセントにもなります。
7種の色彩盛花色彩本位
工藤亜美『小原流挿花』
2022年4月号「季のはな」より
写真/奥 康正
花/本桜 貝母 乙女椿 こでまり シレネ‘桜小町’ 都忘れ 鳴子百合
器/足付長方水盤
花産地より【都忘れ】
今年から「いけばな花材を守るプロジェクト」の対象花材に都忘れが加わりました。推奨時季は3月中旬から下旬です。例年は4月上旬からの出荷でしたが、今年から産地が増え、3月中旬からの早出しの出荷が数量限定で実現しました。
協同組合豊友会
豊友会は、全国の小原流支部に花材を提供する生花店の協同組合です。 いけばな花材を守るプロジェクトは、豊友会と小原流が協力し、生産が 減少している花材を積極的に利用することで花の生産地を支える取り組みです。季節の対象花材(一部)は、1 杯からご自宅へお届けします。


引用:小原流挿花2026年4月号より
